墜落制止用器具について


 建設工事等で広く使用されている「安全帯」について、名称を「墜落制止用器具」とするなど、労働安全衛生規則(以下「安衛則」という。)及び構造規格の改正、ガイドラインの策定がなされました。
 厚生労働省により報道発表などがなされましたが、安衛則の改正など要点について記します。
 なお、要点をこのページにおいて説明しますが、詳細については厚生労働省ホームページなどをご確認ください。

注 意
フルハーネス型の墜落制止用器具ついては「使用しなければならない要件」と「特別教育を受けなければならない要件」は異なります。


@「墜落制止用器具の種類」
 墜落制止用器具の種類は「胴ベルト型(1本つり)」及び「ハーネス型(1本つり)」の2種類となります。
 なお、「胴ベルト型(U字つり)」は作業姿勢を固定するものであり、墜落を制止する目的のものではないとされ、墜落制止用器具にはあたりません。

A「墜落制止用器具を使用しなければならない作業」
 墜落制止用器具を使用しなければならない場所、作業は、労働安全衛生規則などに規定されており、関係条文は次のとおりとなります。
 なお、「要求性能墜落制止用器具」との記述がありますが「要求性能墜落制止用器具」とは「墜落による危険のおそれに応じた性能を有する墜落制止用器具」とされています。

要求性能墜落制止用器具を使用しなければならない作業

労働安全衛生規則中の関係条文

第百三十条の五(粉砕機等への転落等における危険の防止)
第百九十四条の二十二(要求性能墜落制止用器具等の使用)※高所作業車
第五百十八条第二項(作業床の設置等)
第五百十九条第二項 (開口部等の囲い等)
第五百三十二条の二(ホツパー等の内部のおける作業の制限)
第五百三十三条(煮沸槽(そう)等への転落による危険の防止)
第五百三十九条の七(要求性能墜落制止用器具の使用)※ロープ高所作業
第五百五十二条第二項(架設通路)
第五百六十三条第三項(作業床)
第五百六十四条第四項(足場の組立て等の作業)
第五百七十五条の六第二項(作業構台についての措置) 

クレーン等安全規則
第二十七条第二項(搭乗の制限等)
第七十三条第二項第二号(搭乗の制限等)

ゴンドラ安全規則
第十七条第一項(要求性能墜落制止用器具等)

酸素欠乏症等防止規則
第六条第一項(要求性能墜落制止用器具等)


B【墜落制止用器具の規格】
 墜落制止用器具に関し、以前は「安全帯の規格」(平成14年厚生労働省告示第38号。以下「旧規格」)に基づき製造されていましたが、平成31年1月25日付け「墜落制止用器具の規格」(厚生労働省告示第11号。以下「新規格」)が告示され、この新規格は平成30年6月に交付された関係政省令の施行日と合わせ、平成31年2月1日に施行となります。

A.経過措置について
 経過措置により、
 2019年(平成31年)8月1日までは、旧規格に基づく墜落制止用器具の製造が可能です。
 2022年(平成34年)1月1日まで、旧規格に基づく墜落制止用器具の販売と使用が可能です。
 経過措置終了後、旧規格に基づく墜落制止用器具の製造、販売、使用は認められません。
 また、使用に関しては製造メーカーの交換推奨時期や部品の取替基準を守り、部品の交換や破棄などをお願いいたします。

B.経過措置期間中の使用について
新規格に対応した墜落制止用器具について
 「墜落制止用器具の規格」第2条の使用制限において、「 6.75メートルを超える高さの箇所で使用する墜落制止用器具は、フルハーネス型のものでなければならない。」とされています。
 6.75m以下の箇所で作業を行う場合、新規格の胴ベルト型墜落制止用器具を使用することができます。
 なお、ガイドラインにおいては、一般的な建設作業においては5mを超える場合、電柱などの柱上で行う作業では2m以上となった場合にフルハーネス型の墜落制止用器具を使用することとされでいます。
旧規格に基づいて製造された墜落制止用器具
 新規格においては、使用制限が定められていますが、旧規格は使用制限が定められていないため、6.75メートルを超える高さの箇所で旧規格に基づき製造された「胴ベルト型」及び「フルハーネス型」ともに要求性能墜落制止用器具として使用することができます。

 なお、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、旧規格のフルハーネス型墜落制止用器具を用いて作業を行う場合には、特別教育が必要です。

 また、高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、
旧規格の胴ベルト型墜落制止用器具を用いて行う作業を行う場合には、特別教育は必要ありません。


平成31年1月25日付け報道発表
「安全帯の規格」を改正した新規格「墜落制止用器具の規格」を告示しました」
平成30年6月22日付け基発0622第2号「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」

C「特別教育が必要な業務」
 特別教育の必要な業務は安衛則第36条に規定されています。
 フルハーネス型墜落制止用器具の使用に際し、特別教育が必要な業務は

「高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところにおいて、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて行う作業に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く。)」


とされています。

 安衛則第518条第1項において「事業者は、高さが2メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。」とされていますが、作業上の理由や足場を設置するスペースが無いなどにより、作業床を設けることが困難な場合、安衛則第518条第2項では、「事業者は、前項の規定により作業床を設けることが困難なときは、防網を張り、労働者に要求性能墜落制止用器具を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。」と規定しています。
 この安衛則第518条第2項に該当し、労働者に墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて作業(ロープ高所作業に係る業務を除く。)をさせるとき、事業者は労働者に特別教育を行う必要があります。

 Aにおいて「墜落制止用器具を使用しなければならない作業」を記載していますが、特別教育を行なわなければならない作業は、このうち「作業床の設置が困難なところの作業」に限られます。

A.特別教育の必要な業務
高さが2メートル以上の箇所であって作業床を設けることが困難なところ(注1において、墜落制止用器具のうちフルハーネス型のものを用いて(注2)行う作業(注3に係る業務(ロープ高所作業に係る業務を除く。)」

1

安衛則第518条第2項の場所を指します。

注2: フルハーネス型に限ります。胴ベルト型(1本つり)のものは特別教育は必要ありません。ただし、胴ベルト型には使用できる高さに制限があります。

3

作業と通行は、概念が異なり、作業をせずに通行、昇降のみでフルハーネス型安全帯を使用する場合には、特別教育は必要ありません。

B.特別教育に関し、よくある質問
<質問1>
「通行」・「昇降」に定義はあるか? 工事の進捗確認や点検なども「通行」、「昇降」に含まれるか?(質疑応答集【質問4−6】抜粋)

法令上の定義はありませんが、一般的に、「通行」とは、通っていくという意味であり、「昇降」とは、昇ったり降りたりするという意味であり、それ以外の行為(工事の進捗状況の確認、現場巡視、点検など)は、「通行」や「昇降」にはあたりません。


<質問2>
フルハーネス型の墜落制止用器具を使用する場合、必ず特別教育が必要か?

 フルハーネス型安全帯を使用するから必ず特別教育を受ける必要があるとは限りません。
 安衛則第518条第2項の場合に限ります。

 足場等を組立てることにより既に作業床が設置されている場合は、フルハーネス型墜落制止用器具を使用して作業をしていても特別教育は必要ありません。

<質問3>
特別教育に猶予期間はありますか?

 この特別教育に猶予期間は定められていません。
 平成31年2月1日以降特別教育の必要な業務に労働者を就かせるときは、特別教育が必要です。
 ただし、墜落制止用器具の構造規格に経過期間があり、特別教育が猶予されるケースがあります。

<質問4>
具体的にはどのような作業でフルハーネス型を使用しすればよいか?
また、特別教育を必要とする作業とはどのような作業か?


 多岐にわたるため、網羅して説明することは困難ですが、(一社)日本建設業連合会において「建設工事における”墜落制止用器具(通称「安全帯」)”に係る「活用指針」について」を公開しています。
 イラスト付きで掲載されていますので、わかりやすくなっています。

以下、資料
平成30年5月23日付け報道発表
「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令案要綱」と「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱」の諮問と答申〜高所からの墜落による労働災害を防止するための措置を強化します〜
平成30年6月22日付け報道発表
「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」〜高所からの墜落が原因の労働災害防止を推進〜
墜落制止用器具に係る質疑応答集
平成31年1月25日付け報道発表
「安全帯の規格」を改正した新規格「墜落制止用器具の規格」を告示しました」
建設工事における”墜落制止用器具(通称「安全帯」)”に係る「活用指針」について((一社)日本建設業連合会)